自己紹介, Introduction

山田 和芳 博士, 研究機関研究員(講師)

Dr. Kazuyoshi Yamada, Institute Researcher, Lectureship

 11月1日付けで島根大学汽水域研究センターに,研究機関研究員(非常勤講師)で着任いたしました山田和芳(やまだかずよし)と申します.どうぞよろしくお願いいたします.

 私は,学部・大学院・ポスドク時代を通じて東京都立大学理学研究科地理学教室にお世話になっていました.今回初めて東京と故郷(名古屋)以外の土地で新しい生活を始めたところです.私は大学時代から一貫して,琵琶湖,水月湖,塩湖(インド)やエルハイ湖(中国)なでの湖沼堆積物や,黄砂の起源となる中国内陸部に分布しているレス(風成)堆積物から,そこに記録されている古環境情報を明らかにして,それが連続時系列のもとでどのように変遷しているのかについて研究してきました.湖沼堆積物には,水塊内外で生じた様々な現象の変化が沈積する堆積物にそのまま反映され保存されていく.一方,陸上のレス堆積物は,大気中で生じた現象(降水量・気温)を反映しながら堆積・保存されていく.そんな保存された情報が記録されている堆積物を世界各地で採ってくることからはじめて,室内に戻り,堆積物の無機化学分析,とくに鉱物組成や化学組成,および環境磁気分析を用いて明らかにしてきました.これまでに試料の高時間分解能分析を行なった結果わかってきたことは,最終氷期以降,完新世を通じて,気温や降水量といった気候の変化というものが氷期−間氷期サイクルのオーダーよりも一桁少ないオーダーで,急激に生じているということ,そして,それが少なくとも東アジア全域で同調する傾向が認められたことです.とくに後者については今後,地点を増やして検討していきたいと思っています.

 当面は,汽水域研究センターにて採取された「中海」や「宍道湖」に代表される汽水湖堆積物の無機化学分析や堆積学的手法を用いて,完新世における気候変動の他に人工改変の影響なども含めた古環境変動の時・空間的な解明に努めていきたいと思っています.でも,基本はフィールド調査が大好きです.いつかは日本列島に存在するすべての汽水湖でコア堆積物を採取・分析できればと夢見ています.今後ともどうぞよろしくお願いいたします.