センター長退任にあたってのご挨拶


 この度の国立大学法人化に伴い,長年住みなれた汽水域研究センターを離れ,法人理事(学術研究副学長・附属図書館長兼務)として大学本部に移ることになりました.

 平成4年に島根大学に汽水域研究センターが設置されて以来,12年間にわたり様々な分野の研究者や地域の方々,汽水域に関心を持っておられる全国各地の方々と交流させていただいたことを大変幸せに思っております.とくに平成14年に「新」汽水域研究センターに改組拡充される前後の2期4年間におきましては,多くの方々に支えられながら何とか無事にセンター長としての責務を果たすことができました.ご協力いただいた学内外の方々やセンター・スタッフに厚くお礼申し上げる次第です.

 汽水域研究センターは中海・宍道湖の干拓淡水化問題の推移の中で,汽水域環境の特性に関わる多くの科学的データを提供し,問題解決に向けて重要な役割を果たしてきました.干拓淡水化問題が一応の決着をみた今,環境と人間の新しい秩序の形成に向けて,汽水域研究センターも新たな一歩を踏み出すことになります.また,それは奇しくも国立大学法人化という社会と大学の新しい関係を歩み出す時期とも重なっております.これまで以上に社会を意識した研究が要求されます.とくに環境科学の分野ではその成果を社会に還元し実効性の高いものにしていくためには,自然科学分野であっても法律の知識や経済学的分析は不可欠であり,そのうえで,国際的な視野から課題をとらえ研究を進めていく努力が必要となります.汽水域研究センターにはそのためのデータと経験は少なからず蓄積されていると確信しております.今後は國井新センター長のもとで,とりあえず6年間の中期目標・計画を着実に進め,島根大学の個性ある研究の一端を担っていただくことを期待するとともに,世界の汽水域研究センターへと着実に発展していくことを願っております.



国立大学法人島根大学理事・副学長 高安克己
(TEL: 0852-32-9731, E-mail: takayasu@soc.shimane-u.ac.jp)